タイペイ101の展望台
展望台へのチケットは、一人400元である。
1500円くらいなので、今までの台湾の物価からするとかなり高い。
さすが最新のおしゃれスポットだ。
ここのチケット売り場のところで、大きい荷物は預けなければいけないらしい。
荷物を預けた後、さらに空港のセキュリティーゲートみたいなところに並ばされ、そこを通ってからエレベーターに乗らなければならない。
たしかにテロでも起こされたら大変なことになるところだから、セキュリティーチェックが厳しいのだろう。
ゲートのところには、もうすでにたくさんの人が並んでいたのだが、私たち3人は小さな子連れのせいか、そこには並ばされずに直接エレベーターのところで待たされた。
子連れはセキュリティーゲートでのチェックが免除されるみたいだ。
そしてしばらく待って、やってきたエレベーターに乗せられる。
もちろん私たちが一番乗りだ。
子連れだと優遇されて良い。
エレベーターの中には、若いきれいなエレベーターガールがいる。
すごいことにこの人は、中国語・日本語・英語で説明をしていた。
ここではエレベーターガールも語学の力が求められるみたいだ。
エレベーターが昇り始めるとすぐ、天井がちょっとしたプラネタリウムみたいにきらきら光りだした。
展望台は89階(!)にあるのだが、なんとそこまでたった37秒しかかからないという。
本当にびっくりするほどの速さだったのだが、その速さをあまり感じさせないことにも驚いた。
多少耳がつーんとなったものの、それほど強い圧力を体は感じなかったのだ。
今の技術ってすごいなってつくづく思った。
エレベーターを降りると、89階の展望室は薄暗かった。
もうすでに夕方だったせいもあるし、室内の照明も押さえたものだった。
降りるとすぐに右のほうへ案内され、日本人の私たちは手際よく日本語ができるスタッフのところに連れて行かれる。
そしてものすごく丁寧な若いスタッフが日本語で「音声ガイドはどうですか」と進めてくる。
躊躇しているとすかさず「無料です」というので、それではと借りることにした。
もちろん日本語の音声ガイドである。
美術館によくあるタイプの音声ガイドで、使い方を親切にスタッフが説明してくれる。
借りるときにパスポートなどの身分証明書が必要なのだが、パスポートのコピーでも大丈夫だった。
ここは今台北の一番の観光名所だからか、スタッフの対応とかものすごく行き届いていると感じた。
どこに行っても日本語ができる人がいるし(たぶんみんな英語もできる)、すごく丁寧だし、若くて垢抜けた感じの人が多い。
特に女性はおしゃれできれいな人が多かった。
音声ガイドを借り、ゆっくり展望室をまわってみることにした。
この日はずっと曇り空で天気が悪かったが、風があってよどんだ空気が流されたせいか、思ったよりもまあまあ遠くまで景色を見ることができた。
借りた音声ガイドはけっこう役に立った。
やはり無いよりはよい。
地図と照らしあわせるよりも、色々分かりやすくてよかった。
ただ、この頃には息子が飽きて落ち着かなかったため、この便利な音声ガイドを使った見学は少ししか楽しめなかった。
今日の息子は、よく遊んだわりにはちっとも昼寝をしていない。
だからもう疲れ果てて、機嫌が悪くなったみたいだ。
だから疲れているにも関わらず、じっとしていることもできず、勝手にあちこちウロウロ走り回ったり、そうかと思うと抱っこをせがんだり、突然オッパイを欲しがって泣いたりとするので、音声ガイドを聞きながらゆっくり見学どころではなかったのだ。
ところで、展望室はどの方角も眺められるよう、89階をぐるりと一周できるようになっている。
その所々にお土産を売っているお店や記念写真を撮れる所などがあるのだが、息子が大荒れだったので、とりあえずそそくさと一周するだけした。
でも最後にはとうとうオッパイをほしがってものすごい大声で泣き喚いたので、端のほうにある一目につかないベンチで、こっそり授乳した。
不機嫌になるとどこでもオッパイを飲みたがるので大変である。
タイペイ101・展望台からの夜景
授乳しているうちに、外はどんどん日が暮れて暗くなっていった。
そして暗くなるにつれ、だんだん台北の町に灯がともり、気がついたら窓の外には台北の夜景が広がっていた。
結局89階から台北の夜景まで楽しめてしまってラッキーだった。
息子はその後眠ってくれたので、やっとゆっくり見学をすることができた。
89階から昼間の台北市を見下ろすのも面白かったが、キラキラ輝く夜の街を見るのもやっぱり素晴らしかった。
ふと気づいたら、ある一角に階段があり、そこから1階下の88階と2階上の91階に歩いて行けるらしい。
せっかくなので行ってみることにした。
まずは上の91階から見ようと思い、階段の方に行ってみた。
すると階段のところにいたスタッフが、「ベビーカーがある方はエレベーターでどうぞ」と言ってくれ、私たちをエレベーターの方へ案内してくれた。
エレベーターは鍵のかけられたドアの向こうにあり、誰でも利用できるわけではないみたいだ。
スタッフが鍵を開けて私たをエレベーターに乗せ、91階に連れて行ってくれた。
この案内してくれたスタッフが、若くてすごくきれいなお姉さんで、しかも日本語ぺらぺら。
いかにも今時のお姉さんといった感じの、濃いアイメイクの垢抜けたお姉さんで、同性の私でもじろじろ見てしまうほど、本当にかわいくてきれいな人だった。
しかもスタイルも抜群。
ここはこういうきれいな人が多かった気がする。
このお姉さんに連れられて、91階まで行く。
そしてエレベーターを降りた所に、男性スタッフが待ち構えていて、その人に私たちを託し、お姉さんはまたエレベーターで下に戻っていった。
タイペイ101の91階(屋外の展望台)
今度はこの男性スタッフに驚かされた。
というのも、この人は背が高くてがっしりとした大男なのだが、この人がテロリストのような顔をすっぽり覆う黒いマスクをかぶっていたのだ。
あのきれいなお姉さんの案内なしに、いきなりこのスタッフが目の前に現れたら絶対怖かっただろう。
犯罪にまきこまれたと思うだろう。
この人も片言の日本語が話せ、私たちをエレベーターのところのドアから外に案内してくれた。
そして外に出てみてこの男性スタッフの姿にすぐ納得。
91階はなんと本当に外に出られるのだった!そしてその外がものすごい風と寒さだったのだ。
91階部分はバルコニーのようになっていて、そこをぐるりと一周できる。
そしてそこは高所のためか、信じられないような強風!吹き飛ばされるのではないかと怖くなるほど。
この日は天気が悪かったせいもあるのかもしれないけど、きっとこの高さのせいもあるのだろう。
こんな強風が吹き荒れるところにいるので、スタッフのお兄さんは防寒のためにあんなマスクをつけていたのだろうと納得できた。
でも初めてみたらかなり怖い。
しかもこんな高層ビルの上ではテロリストが来たのだとみんな思うよ、と思う私だった。
ものすごい風と寒さの中、とりあえずバルコニーみたいな91階を一周してみる。
もちろん高い柵があるので、下に落ちるような心配はない。
でもものすごい強風なので、この柵をも越えて吹き飛ばされるのではないかとちょっと心配になった。
時間が遅かったせいか、それとも寒さのせいか、ここには観光客の姿はちらほらいる程度。
誰もいなかったら、もっと怖かったかもしれない。
夫が眠っている息子を抱っこして歩いていたのだが、この強風では息子が起きてしまうのではないかと思い、一周するだけしてさっさと中に戻ることにした(結局この後すぐ起きてしまったが)。
怖かったけど91階の高さで外の環境を味わえるということはめったにできないことなので、とても貴重な経験になった。
エレベーターから出てきたところのドアに戻り、先ほどのお兄さんと思われる人に戻りたいと声をかける。
この人、見た目は怖いけど、とても親切で感じのいいお兄さんだった。
お兄さんは寒さで震えていて見ていて本当に大変そうだった。
お兄さんにドアの鍵を開けてもらい、エレベーターのところに入ると、先ほどのきれいなお姉さんが迎えに来てくれていた。
そして一緒に89階へ戻る。
エレベーターの中でこのお姉さんに「91階はいつもこんなに風が強いのですか?」と聞いたら、やっぱり「そうです」と言っていた。
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